経審の加点対象に!「職人いきいき宣言(建設技能者を大切にする企業の自主宣言)」とは?
建設業界で最近耳にするようになってきた「建設技能者を大切にする企業の自主宣言(通称:職人いきいき宣言)」をご存知でしょうか?
これは、職人さん(技能者)を大切にし、処遇改善に積極的に取り組む会社であることを、社長(代表者)の名前で対外的に宣言する新しい制度です。さらに、令和8年(2026年)7月1日より、この宣言は元請・下請けの立場に関わらず経営事項審査(経審)での加点対象となりました。 公共工事を狙う企業にとっては見逃せない重要な制度となっています。
今回のコラムでは、この宣言の目的や、会社にとってのメリット、具体的な宣言内容について解説します。

目次
1. 背景:なぜ今、この宣言が必要なのか?
国がこの制度を立ち上げた背景には、建設業界が抱える深刻な問題があります。
技能者の減少と高齢化
建設業の技能者は年々減少しており、特に60歳以上の高齢層が約25%を占めているなど、将来の担い手不足が急務となっています。
厳しい労働環境
他産業に比べて実労働時間が長く、休日の取得状況もいまだに「4週6休程度」が最多となっており、働きやすい環境づくりが課題とされています。
これらの課題を解決し、処遇改善に取り組む企業が評価される枠組みとして、この宣言制度が創設されました。
2. メリット:会社にとってどんな良いことがある?
この宣言を行うことで、会社には以下のような大きなメリットがあります。
メリット①:経営事項審査(経審)での加点
元請・下請けの立場に関わらず、経審での加点対象となりました。
メリット②:採用力と企業ブランドの向上
宣言を行うと、ポータルサイトに企業名や代表者名が公表されます。「人を大切にする会社」として就業者に選ばれやすくなり、事業に必要な人材を安定的に確保しやすくなります。
メリット③:宣言企業との取引優先とサプライチェーン全体での評価
この制度には「取引先の選定に当たり、宣言を行っていることを考慮すること」というルールが含まれています。つまり、発注者や元請けから「取引先として優先的に選ばれやすくなる」という直接的なメリットがあります。さらにサプライチェーン全体からも、コンプライアンス意識の高い優良企業として適切に評価され、信頼度がアップします。
3. 宣言の仕組み:具体的に何を約束するの?
宣言は「元請事業者」「下請事業者」「発注者」のいずれかの立場を選択して行います(重複して宣言することはできません)。 宣言する内容は、大きく分けて以下の2つです。
① 必須項目(必ず賛同するもの)
「労務費確保・賃金支払い等のための取組」や「建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用」、「宣言企業との取引優先」といった項目について、自社で行う具体的な取組を選択・宣言します。
② 任意項目(最大5項目まで)
必須項目に加えて、会社を良くしていくための以下の項目(ア〜ケ)の中から、最大5項目まで自由に記載できます。
ア)処遇改善
イ)適正な請負契約
ウ)スキルアップ
エ)労働安全衛生
オ)生産性向上
カ)戦略的広報・若者育成
キ)女性活躍
ク)外国人活躍
ケ)その他
4. 重要ポイント:申請前に知っておきたい注意点
実務上、以下のポイントを事前に理解しておくことが大切です。
取組は「これから」でもOK
申請時点ですべての取組が開始されていなくても、「申請時に設定する1年以内の日」を取組開始日として、将来実施する予定として宣言することが可能です。
有効期間がある
宣言の有効期間は、申請日の翌月を起算日として「2年経過後の最初の12月末まで」となっています。
虚偽は厳禁
宣言内容に疑義が生じ、払拭されない場合や報告がなされない場合には、宣言が取り消されることがあります。 無理な約束ではなく、自社で確実に実行できる内容を宣言することが重要です。
5. 結び:「いい会社」への第一歩を一緒に踏み出しましょう
「職人いきいき宣言」は、単なる点数稼ぎのための手続きではありません。これを機に会社の労働環境を見直し、職人さんが長く安心して働ける「いい会社」を作るための素晴らしいきっかけになります。
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