【超入門】「一般」と「特定」の建設業許可はどう違う?下請に出す金額の壁

建設業許可の取得に向けて準備を進めていると、社長が必ずぶつかる疑問があります。それが「『一般建設業許可』と『特定建設業許可』、うちの会社はどちらを取るべきか?」という選択です。

「どうせ取るなら、制限がなくて大きな工事ができそうな『特定』を取りたい!」と考える方もいらっしゃいますが、結論から申し上げますと、初めて許可を取る会社の9割以上は「一般」で十分です。

今回は、「一般」と「特定」の明確な違いと、どちらを選ぶべきかの判断基準について分かりやすく解説します。

1. 導入:どっちを取るべき?「一般」と「特定」の迷い

建設業許可には、すべての業種(土木、建築、内装など)において、それぞれ「一般」と「特定」の2つの区分が設けられています。

名前の響きから「一般は小さな工事専用で、特定は特別な大企業向け」といったイメージを持たれがちですが、実はこの2つの間に「自社が受注できる工事金額の上限」といった違いはありません。

2. 基本ルール:違いは「元請として受けた工事を下請に出す金額の大きさ」だけ!

大前提として、「一般」だから小さな工事しか受注できない、「特定」だから大きな工事を受注できる、という受注金額(売上)の制限はありません。

両者の違いはたった一つ。「元請けとして工事を受注し、それを下請け業者に発注する際の『金額の大きさ』」だけです。

なぜこのような違いがあるのでしょうか?それは、立場の弱い下請け業者を保護するためです。大規模な工事を元請けとして仕切る会社には、下請け業者にきちんとお金を支払い、現場を安全かつ適切に指導するための「より高い資金力と技術力」が国から求められます。それが「特定」の許可なのです。

3. 具体的な「金額の壁」は5,000万円(建築一式は8,000万円)

令和5年(2023年)1月1日の建設業法施行令の改正により、この金額基準が引き上げられ、現在は以下のルールとなっています。

一般建設業許可

発注者から直接請け負った(元請となった)1件の工事につき、下請に出す代金の合計額が5,000万円未満の場合。
(※建築一式工事の場合は8,000万円未満)
※金額はいずれも消費税込

特定建設業許可

発注者から直接請け負った(元請となった)1件の工事につき、下請に出す代金の合計額が5,000万円以上になる場合。
(※建築一式工事の場合は8,000万円以上)
※金額はいずれも消費税込

4. プロの視点:実務で一番多い「3つの勘違い」

このルールは意外と複雑で、実務では以下のような勘違いがよく起きます。

・勘違い①:自分が「下請」の立場なら、孫請に出す金額に制限はない

この「5,000万円の壁」は、あくまで自社が一番上の「元請」になった時だけのルールです。自社が一次下請として現場に入り、二次下請(孫請け)に工事を出す場合は、いくら発注しても「特定」の許可は必要ありません。(※ただし、工事をそのまま丸投げする「一括下請負」は建設業法で固く禁止されています)

・勘違い②:1社への発注額ではなく、下請「全員の合計額」で見られる

「A社に3,000万円、B社に3,000万円発注する。1社あたりは5,000万円未満だから一般でOKだろう。」というのは間違いです。1件の工事に関わる全ての下請業者への発注金額の「合計(この場合は6,000万円)」で判断するため、このケースは「特定」の許可が必要です。

・勘違い③:「一般」では5,000万円以上の工事を「受注」できない?

これも間違いです。極端な話、自社が元請けとして1億円の工事を受注したとしても、下請けを一切使わず、自社の社員だけで全て施工するのであれば、「一般」の許可で全く問題ありません。制限されるのはあくまで「下請けに出す金額の合計」です。

5. 結び:「特定」はハードルが高い!まずは「一般」からが王道

下請業者を守るという重大な責任があるため、「特定」の許可は一般に比べて要件が格段に厳しく設定されています。

① 財産(お金)の要件

一般は「自己資本500万円以上」ですが、特定は「資本金2,000万円以上、かつ自己資本4,000万円以上」など、厳しい財務基準が求められます。

② 専任技術者(人)の要件

特定の場合は、一般よりも高度な資格や経験が必要です。

とくに「指定建設業(土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園の7業種)」の場合は、「一級国家資格者」または「国土交通大臣認定者」に限定されるという高いハードルがあります。その他の22業種でも、「一級国家資格者」か「一般の要件+指導監督的実務経験者」が必要です。

そのため、設立して間もない会社が最初から「特定」を目指すのは困難です。まずは「一般」の許可を取得して着実に実績を積み、会社の規模が大きくなって元請としての大規模工事が増えてきたタイミングで「特定」へ切り替える(般特新規といいます)のが、王道であり「いい会社」へと成長する確実なステップです。

「自社の今の状況なら、どちらの許可を取るべきか?」と迷われたら、まずは西宮の建設業専門である当事務所にご相談ください。御社の現在の状況と将来のビジョンを見据え、最適な許可の取得プランを一緒に組み立てていきましょう。