【相談事例8】個人事業主でも建設業許可を取得することはできますか

結論から言うと、個人事業主だとしても要件を満たすことで建設業の許可を取得することができます。今回は、個人事業主が一般建設業許可を取得する要件について紹介します。

1.建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものであること

この要件を満たすには、以下いずれかに該当する必要があります。反対に言うと、これらの要件を満たすことで個人事業主でも「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものである」ことを証明することができます。

  • 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者であること
  • 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者であること
  • 建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者であること

経営業務の管理責任者とは

「経営業務の管理責任者」とは、その名の通り「経営業務の管理に責任を持つ者」の意味です。これは、以下のようなものを指します。

  • 登記されている法人の役員(代表取締役、取締役等)
    ※監査役等は含まれません
  • 個人事業主

また、「準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)」とは、以下のようなものを指します。

法人の場合

・取締役会設置会社の執行役員

・建設業を行っている部署の部長や部門責任者

個人事業主の場合

・一緒に仕事をしている後継者

今回は、分かりやすさを優先して一般的な要件(人で要件を満たす方法)を記載しています。令和2年10月1日施行の建設業法の改正で、上記だけではなく別の方法(組織として要件を満たす方法)でも要件を満たせるようになっています。ご注意ください。

2.専任技術者を設置していること

営業所ごとに、以下いずれかの要件を満たす専任の技術者を設置することが必要です。

個人事業主の場合は、営業所が一か所で専任技術者の要件を満たす人が個人事業主本人の場合がほとんどです。しかし、本人ではなくとも一緒に仕事をしている人が満たすことで許可を取得することができます。

一般建設業許可

  • 資格取得者
  • 許可を受けようとする業種について10年間以上の実務経験を有する者
  • その他経験を有する者(学歴や職歴によって条件が変わります)

3.誠実性があること

建設業法では、建設業者に「誠実性」を求めています。以下を満たすことが必要です。

誠実性の要件

その者又は政令で定める使用人が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。

ここで、何が「不正又は不誠実な行為」とみなされるかについては各都道府県が発行する手引きに記載されていることがあります。一般的には、法令違反や契約違反がこれにあたると考えられています。

4.財産的基盤があること

建設工事を行うためには、資材や機械器具の購入、労働者の確保、営業活動などで一定の資金が必要です。そのため、以下のような財産要件が決められています。

一般建設業

次のいずれかに該当すること。

  • 500万円以上の預貯金があること
  • 500万円以上の資金調達能力を有すること
  • 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること

まとめ

要件を満たすことで個人事業主でも問題なく建設業許可を取得することができます。また、許可を取得することで税込み500万円以上(建築一式工事の場合は1,500万円以上)の工事を受注することができるようになります。つまり、事業の規模を拡大するためには許可の取得が不可欠ということです。
このように、個人事業主ということを理由に許可の取得を諦める必要はまったくありません。むしろ大きな工事を受注するチャンスを逃さないためにも、建設業許可の取得を積極的に検討することをお勧めいたします