入札制度の枠組み

入札制度の基本的な枠組みは、国においては会計法で、地方公共団体においては地方自治法で規定されています。

①競争入札

契約の性質等を考え、一般競争入札、指名競争入札、随意契約といった方法がとられます。
なお、一般競争入札が原則とされています。

一般競争入札

入札に参加するために必要な資格要件などを定めた入札情報を公告し、広く入札参加者を求め、その中から最も有利(安価)な条件を出した入札者と契約を結ぶ契約方式のことです。

指名競争入札

特定の企業を「指名」し、その中から最も有利(安価)な条件を出した入札者と契約を結ぶ契約方式のことです。この方式では、参加を希望しても「指名」がなければ入札に参加することができません。この点が「一般競争入札」とは大きく異なります。

随意契約

入札を行うことなく契約相手を決定する方式です。
案件の金額が少額である場合や、「一般競争入札」で落札者が決定しない場合などに実施される方式です。100%契約できるのでメリットが大きいと考えがちですが、実際は狙って随意契約の案件を獲得できることはなかなかありません。

②予定価格制度(上限拘束性)

予定価格とは、国や地公法協団体が契約を締結する際に、契約金額の基準としてあらかじめ作成することを求められる見込み価格のことです。日本の競争入札制度では、落札額は予定価格の制限を超えることができません。この原則のことを、「予定価格の上限拘束性」と呼びます。
なお、日本以外の先進国における入札制度では予定価格の上限拘束性は存在しません。

③最低価格自動落札

最低価格自動落札とは、その名の通り最低の価格で入札した企業を落札者とする制度です。落札者となるべき価格の入札が複数あるときは、くじで落札者を決定します。

最低価格自動落札の例外

最低価格自動落札では、ダンピング受注による公正な取引の阻害、そしてこれに伴う工事の品質低下、労働条件の悪化、下請へのしわ寄せ、安全性の軽視等様々な問題が発生することが考えられます。
そのため、最低価格自動落札の例外として、以下のような制度が導入されることもあります。

総合評価制度

「契約の性質等に応じ、価格その他の条件が最も有利な者と契約することができる」という制度です。工事においては、配置技術者の資格の有無、優良工事業者としての表彰の有無、省資源化や環境対策、技術的提案といった価格以外の面についても考慮する評価制度です。

低入札価格調査制度

最低入札価格が一定水準以下の場合には、発注者が適切な履行が可能かどうか調査を行い、調査の結果に応じ、次順位者と契約することができる制度です。
最低制限価格制度 入札の際に、最低制限価格を設定する制度です。この制度では、予定価格の範囲内で最低の価格をもって入札した企業でも、最低制限価格を下回る場合にはこれを落札者とせず最低制限価格以上で最低の価格をもって入札した者を落札者とすることができます。