【相談事例6】決算変更届は毎年提出する必要があるのか

建設業許可を取得した際に、毎年の決算変更届の提出が必要と案内された方もいると思います。今回は、これの提出はなぜ必要なのか、提出しなければどうなってしまうのかについて説明します。

相談の内容

建設業許可を取得後は、毎年決算変更届の提出が必要なのでしょうか?もし提出しなかった場合、どんなデメリットがあるのでしょうか?

回答

建設業許可を取得した業者は、毎年決算変更届を提出しなければなりません。なお、これを提出しないことについては、多くのデメリットがあります。

決算変更届とは

決算変更届とは、工事経歴書、工事施工金額、財務諸表、納税証明書等によって構成される書類であり、毎年決算日から4か月以内に国土交通大臣又は都道府県知事への提出が義務付けられています。
ここで言う財務諸表は、基本的に税理士さんが作成するものをそのまま利用することはできず、建設業用のものに作り替えることが必要です(税務会計と建設業会計の違いです)。

決算変更届を提出しない場合のデメリット

決算変更届を提出しない場合、以下のようなデメリットがあります。

・建設業法違反で罰則が適用される可能性がある

 決算変更届を提出しない場合の罰則として、建設業法第50条により「6か月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処す」と定められています。実際の運用上は、決算日から4か月以内に提出できていないすべての業者にすぐに適用されるわけではないかもしれませんが、決算変更届を提出しないことは建設業法違反です。

・更新申請や業種追加ができない

 更新申請や業種追加をするためには「決算変更届を含む全ての変更届が提出されていること」が必要です。これを満たしていない場合は、更新申請や業種追加申請を受け付けてもらうことができません。

・取引先からの信用悪化につながる可能性がある

 決算変更届の提出状況は、役所で閲覧請求することで誰でも見ることができます。例えば、取引先が仕事を受発注する前にチェックをすることも可能です。
決算変更届が提出されていないことが分かった場合、法令遵守という観点からもマイナスイメージを持たれてしまうことにつながりかねません。

公共工事を受注したい場合

公共工事の受注を希望する場合は、毎年経営事項審査を受けることが必要です。
経営事項審査は決算変更届を提出しなければ受けることができないため、必然的に毎年決算変更届を提出することとなります。

結論

現実には「更新時期に5年分の決算変更届を一気に提出している」建設業者もいるかもしれません。ただ、「決算変更届を毎年提出しない」という意思決定にはメリットはほとんどなく、デメリットが大きいことが分かっていただけたかと思います。
当事務所では、決算変更届は毎年提出することをお勧めします。