複数業種の建設業許可を同時に取得するメリットとデメリット
西宮で建設業を営む皆さま、こんにちは。「西宮の建設業を、日本で一番熱い業界に。」しばはら行政書士事務所の柴原重太です。
新規で許可取得を目指す際、「メインの業種だけでなく、関連する業種もまとめて取っておいた方がいいのか?」と悩む社長は少なくありません。
結論から申し上げますと、条件を満たせるのであれば同時取得は非常に有効な戦略の一つですが、今後考えている事業展開によっては、あえて絞るという選択肢もあります。
今回は、国土交通省の技術者制度に基づき、複数業種を同時に申請するメリットと、実務家だからこそお伝えしたい運用上のデメリットについて解説します。
目次
1. 複数業種を同時に取得するメリット
最大のメリットは、将来かかるはずの「コスト」と「時間」を節約できる点にあります。
手数料(証紙代)が5万円浮く
兵庫県の知事許可(新規)を申請する場合、1業種でも、あるいは複数業種を一度に申請しても、県に納める手数料(証紙代)は一律9万円です。 一度「一種目だけ」で許可を取り、後日、別の業種を追加しようとすると、別途5万円の手数料(業種追加)が発生します。最初からまとめて取ることで、この追加コストを抑えることが可能です。
審査待ちの「空白期間」をショートカット
業種追加を後から行うと、申請のたびに1〜2ヶ月ほどの審査期間を待つ必要があります。同時申請であれば、一度の手続きで複数の「看板」を掲げることができ、即座に幅広い営業活動が可能になります。
国家資格保有者には特におすすめ
一級建築施工管理技士などの資格をお持ちの場合、その資格一つで複数の業種をカバーできることがあります。実務経験で証明する場合は、申請する業種を増やすほど証明資料も膨大になりますが、資格で証明する場合、1業種でも複数業種でも申請に必要な資料の量はほとんど変わりません。 今後の事業展開を想定して、このタイミングでまとめて申請しておくことも非常に有効な選択肢となります。
2. 複数業種を取得するデメリットと注意点
業種を増やすことは、その全ての業種において「技術者制度」を遵守する義務を負うことを意味します。
全ての現場に「技術者」の配置義務が生じる
建設業許可を受けた業者は、請け負った工事を施工する際、請負代金の額に関わらず(500万円未満の軽微な工事であっても)、現場に専任技術者と同等以上の資格や経験を持つ技術者を配置しなければなりません。 一般建設業許可であれば「主任技術者」、特定建設業許可かつ請負金額一定以上の工事であれば「監理技術者」の配置が必要です。許可業種が増えれば施工できる幅は広がりますが、注意すべきは「技術者のやりくり」です。
- 兼務と専任の判断: 「公共性のある工作物に関する建設工事(※個人住宅を除く)」であって、請負金額が4,500万円(建築一式工事の場合は9,000万円)以上となる工事の場合は、一部の例外を除き、技術者をその現場に「専任」で配置しなければならず、他の現場との掛け持ちができなくなります。
- 配置パズルの難化: 裏を返せば、これに該当しない工事であれば兼務という選択肢もありますが、業種が多くなればなるほど、どの現場に誰を配置し、誰が兼務可能なのかという「技術者配置の管理」が非常に複雑になります。
決算変更届の事務作業が煩雑になる
許可取得後は、毎年「決算変更届」の提出が義務付けられます。
- 工事経歴書の仕分け: 保有する業種ごとに工事を振り分けて記載する必要があります。
- 施工金額の管理: 経審(経営事項審査)の有無にかかわらず、届出書類には直前3期の工事施工金額を業種ごとに算出・管理して記載しなければなりません。
実務経験で狙う場合のハードルの高さ
実務経験(原則10年)で専任技術者の要件を満たす場合、一つの工事経験を複数の業種に重複してカウントすることはできません。複数業種を狙うなら、それぞれの業種ごとに必要な実務期間を足し算した「合計年数」が必要となり、証明資料の準備も困難になります。
3. あなたの会社に「ぴったりのセット」を見極める
一般的には「建築一式工事と内装仕上工事」「塗装工事と防水工事」といった組み合わせが相乗効果が高いと言われます。しかし、会社の数だけ最適な業種構成は異なります。
しばはら行政書士事務所では、単に一般的な例を提示するだけではありません。「現在どのような工事を、誰が、どのくらいの頻度で施工しているのか」「今後、どのような事業展開を描いているのか」といったことを丁寧にヒアリングすることで、将来の管理負担と営業上のメリットを天秤にかけ、貴社にとっての「ぴったりのセット」をご提案いたします。
まとめ
複数業種の同時申請は、コストを抑えて事業の幅を広げるチャンスです。しかし、取得後の「技術者の配置」や「売上管理」といった実務は、許可を取るよりもはるかに長く続く課題です。
「自分の資格で、無理なく技術者を配置し続けられるのは何業種までか?」 「管理の手間を最小限に抑えつつ、最大限の武器を持てる構成はどれか?」
取得後の「現場のリアル」を見据えた業種構成を一緒に作り上げましょう。迷っている西宮の社長は、ぜひ一度ご相談ください。


