建設業における技術者制度の基本と配置のルール(令和6年改正)

建設業を営む上で、技術者の配置は「営業所」と「工事現場」のそれぞれで欠かせない法的義務です。しかし、許可の種類(一般・特定)や工種、請負金額によって、求められる資格要件は複雑に異なります。

今回は、添付の対照表に基づき、そのポイントを整理して解説します。

1. 「一般」と「特定」で異なる営業所の技術者要件

建設業の許可には「一般建設業」と「特定建設業」の2種類があり、営業所に置くべき技術者の要件が異なります。

  • 一般建設業:
    一級・二級の国家資格者、指定学科の卒業+実務経験者、または10年以上の実務経験者などが認められます 。
  • 特定建設業:
    <指定建設業(土木、建築、電気など7業種)の場合>
    一級国家資格者、または国土交通大臣が認定した者でなければなりません 。
    <指定建設業以外の22業種の場合>
    一級国家資格者、または一般建設業の要件+指導監督的実務経験者でなければなりません 。

2. 下請契約の金額が「監理技術者」の境目

元請工事において、下請けに出す金額の合計が5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上となる場合は、現場に「監理技術者」を置かなければなりません 。(それ未満の金額の場合は「主任技術者」を置かなければなりません)

  • 監理技術者: 一級国家資格者などが該当し、監理技術者資格者証の所持も必要となります 。
  • 主任技術者: 下請金額が上記未満の場合、または一般建設業者の場合は「主任技術者」を配置します。こちらは二級国家資格者や10年以上の実務経験者でも就任可能です 。

3. 「現場専任」が必要になる基準

工事の公共性や規模によっては、技術者はその現場に「専任」でなければならず、他の現場との兼務が禁止されます。

  • 専任が必要な工事: 請負金額が4,500万円(建築一式工事の場合は9,000万円)以上の公共性のある工作物に関する工事が対象です 。
  • 専任緩和の特例(最新の改正): 以下の条件をすべて満たす場合は、例外的に2つの現場まで兼務が可能になりました 。
    1. 請負金額が1億円(建築一式工事の場合は2億円)未満であること 。
    2. 遠隔通信技術の活用による現場状況の確認等、国土交通省令で定める要件を満たすこと 。

まとめ

技術者制度は、適切な施工品質を確保するための根幹です。特に特定建設業や大規模工事においては、一級資格者の配置や専任義務など、厳しい基準が設けられています。
令和6年の省令改正による専任緩和など、最新のルールも正しく理解して運用しましょう。