建設業許可を取得することで得られる3つの大きなメリット
建設業許可を取得するには、申請用の書類を作成したり、必要な資料を集めたりと手間がかかります。また、これらに行政書士を使うと報酬という名の費用が発生します。
さらに、取得後は以下のような義務も発生します。
- 毎年の決算変更届の提出
- 5年に1度の更新申請
- 届出事項に変更が発生した際の変更届の提出
しかし、建設業許可を取得すことはこれらの手間や費用を超える大きなメリットがあります。今回は、このメリットを3つ紹介します。
メリット1:受注できる建設工事の範囲が拡大する
個人的にはこれが一番大きなメリットだと思います。ほとんどの建設業者が、このメリットを目的に建設業許可を取得しています。
建設業許可を取得していない建設業者は、軽微な工事しかすることができません。
建設業許可を取得することでこの制限が解除され、受注できる建設工事の範囲が拡大します。
<軽微な工事>
① 建築一式工事の場合
工事1件の請負代金の額が1,500万円に満たない工事又は延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事
② 建築一式工事以外の場合
工事1件の請負代金の額が500万円に満たない場合
メリット2:信頼性と信用力が向上する
許可が必要となるような規模の工事を行う予定がなくても、建設業許可を取得するという判断をする建設業者が存在します。
その際の目的として多いのが、このメリットです。
建設業許可を取得している建設業者は、以下の要件を満たしていることを行政から認められています。
- 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものであること
- 専任技術者を設置していること
- 誠実性があること
- 財産的基盤があること
また、欠格要件に該当すると許可が取得できないので、これには該当していないことが証明されています。
一方、建設業許可を取得していない建設業者がこれらのことを証明するのは簡単ではありません。
このように、「許可業者」と「無許可業者」では信頼性や信用力に大きな差が出てしまいます。これを裏付けるように、元請業者が下請業者に建設工事を発注する際に「建設業許可を取得していることが条件」とするところも増えてきています。
メリット3:資金調達がしやすくなる
これを目的に許可を取得しようとする建設業者はあまりいませんが、メリット1やメリット2を目的に建設業許可を取得すると、結果的にこのメリットも享受できます。
メリット1で見てきたように、建設業許可を取得することで受注できる建設工事の範囲が拡大します。
メリット2で見てきたように、建設業許可を取得することで信頼性と信用力が向上します。
また、建設業の許可は一度取得したら終わりではなく有効期限が「5年間」と設定されています。この更新申請を行うための前提として、決算変更届やその他変更届の提出が求められます。これら報告が未提出だったり、何かしら内容に問題があったりすれば注意を受けるし、それが続けば行政指導を受ける可能性もあります。
建設業許可を継続して所持しているということは、国や都道府県に状況を確認してもらうことができていると言えます。
上記3点の理由により、建設業許可を取得した後は許可を取得する前と比較すると金融機関からの融資審査が通りやすくなる可能性が高くなると言えます。
まとめ
建設業許可は単なる「許可証」ではなく、長期的に企業の安定と成長を支える重要な資産と言えます。受注できる建設工事の範囲拡大、信頼性と信用力の向上、資金調達がしやすくなるということが相互に作用し、経営基盤を強くすることができます。
現在建設業許可を取得していない建設業者の方も、ぜひ取得を検討してみてください。