経営事項審査のメリットとデメリット
経営事項審査には、具体的にどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。改めて聞かれると、言葉に詰まる人もいるかと思います。ここでは、当事務所が考える経営事項審査のメリットデメリットについて紹介していきます。
目次
経営事項審査のメリット
メリット1:公共工事の入札に参加できるようになる
これは、経営事項審査を受ける最大のメリットです。と言うよりも、ほとんどの場合はこのために経営事項審査を受けます。ただ、「入札への参加できるようになる」ことがゴールではなく「落札して建設工事を受注する」ことが目的です。ここは間違えないようにしてください。
メリット2:現状が点数化されるので、自社の状況を客観的に確認することができる
経営事項審査は全国共通の審査方法であり、これを受けると点数化して評価されます。基本的に経営状況がよい企業ほどよい点数が出ます。毎年受けて結果を比較検討することで、自社が置かれた状況を客観的に知ることができます。自社の現状はどうなっているのか、今後自分がやりたいことを実現するためには今後どこをどう伸ばしていくべきか、このようなことを知ることができるのも、経営事項審査の大きなメリットです。
メリット3:同業他社と比較しやすくなる
経営事項審査の結果は、公表されています。各整備局や都道府県ではそこでの許可業者分しか閲覧できませんが、一般財団法人建設業情報管理センター(CIIC)のホームページでは経営事項審査を受けた全国の建設業者の情報を閲覧することができます。
自社の財務状況や技術職員数といった重要な情報が公開されてしまいますが、他社の情報も閲覧することができます。同じ物差しで比較された競合他社の情報を取得することで、競合分析の第一歩として利用することができます。
経営事項審査のデメリット
デメリット1:準備しなければならない資料が多い
経営事項審査を提出する際に必要となる資料は多岐にわたり、収集するのは多くの手間と時間がかかります。また、資料に抜け漏れがあると結果に会社の状況を正確に反映させることができません。
各整備局や都道府県が発行する手引きにはどの資料が必要かという記載がありますが、本業ではない人がこれを読み解き理解するのも一苦労です。
デメリット2:資料の作成や不備時の対応に時間がかかる
建設業許可を取得した建設業者は、決算終了後に建設業会計に沿った財務諸表を作成し、決算変更届(年次報告)を提出することが必要です。経営事項審査を受ける場合は、これに加えて経営状況分析(毎年)、経営事項審査(毎年)、入札参加資格申請(2~3年に一度)が必要です。
これらに対応するために資料を作成したり、提出時に指摘された不備に対応したりと本業の建設工事以外の作業に時間を取られてしまいます。
デメリット3:申請には費用が掛かる
経営状況分析を受けるときは登録経営状況分析機関に対して、経営事項審査を受けるときは各整備局や都道府県に対して審査手数料を支払うことが必要です。また、経営事項審査一連の手続きに行政書士を利用する場合は、その手数料も必要です。
まとめ
経営事項審査には、1年7か月という有効期間があります。毎年公共工事を請け負うことを目指す場合はこれを更新していくことが必要です。
毎年対応しなければならない手間・時間・費用が大きなデメリットであり新規参入のハードルとなります。しかしこのハードルを乗り越えて経営事項審査に取り組んでしまえば、信頼や実績を得ることができ他社と差別化できます。 メリットとデメリットをよく検討し、自社にとって経営事項審査が必要かをしっかりと考えるようにしてください。